中でも 男性にとっての『おふくろの味』は、忘れ得ぬ宝物のような存在かも知れません。
かつて私の持ち番組の一つ、フジテレビ系で毎日夕刻に放送していた「生活発見」という商品紹介の番組がありました。
メーカー各社の主力商品や新製品 中には会社の命運をかけた商品もあり、家電製品・衣類・化粧品・健康食品など 概ね女性ターゲット目線で、現在のショップチャンネルの先駆けとなったような番組でした。
昭和61年頃、愛知「七福」の白醤油「白だし」のご紹介をいたしました。
私は、東京生まれの東京育ちで、お醤油の色は茶褐色のものと思っていましたので、最初 白しょうゆという表現のお醤油は、とても珍しく感じました。「料亭白だし」ともラベルにありますし、どんな味かを番組でご紹介する前に一本頂戴し、「けんちん汁」を作ってみました。
「あら おいしい・・何かひと味違うみたい・・」と思いつつ
夫(フリーアナウンサーの押坂忍)に出したところ
「おっ うまいねエ・・うまい うまい!」とホメ言葉の連発で。
普段は上出来の味付けでも 殆ど連発はない人なのに・・・。
「う~ん 今夜はおふくろの味!」といって
亡きお母様の料理の味付けなどを ホロリと 話してくれました。
私の面差しが 少年の頃他界された母に似ているといって、
口説き文句にした夫にとっては
いくつになっても母の味は忘れ得ぬものなのでしょう。
味にうるさい夫でなくても
確かに「白だし」の味付けは「一級品の味」と思います。
「白だし」紹介の担当日、私は自信をもって その味の魅力を精一杯ご紹介しました。放送後、テレビ局側に大好評という知らせが入りました。
ご購入された奥様方が「おいしい」「手間いらず」と
「白だし」にお褒めのお墨付きを下さったのです。
以来、私は盆暮のご挨拶にも この「白だし」を使わせていただいております。
「白だし」とともに今日まで三十年の愛用者となりましたが、
『おふくろの味』を醸し出す「白だし」は、私のお台所の親友であり
頼りになる味の先導者でもあります。