日本の食文化を守るために、メーカーとして守るべきものがある
犬塚貴統
食を取り巻く現状は、絶望的と言えるかもしれません。
幼少時代からファストフードに慣れ親しみ、日本が大切に育んできた伝統的な味を「おいしい」と感じない。
私たちは「本当の味とは何か」という根本的な部分から発信する必要に迫られています。
特に若い世代を中心に、濃い味のものしかおいしいと感じなくなっている。これは消費者よりも、むしろ私たち作り手にこそ問題があると痛感しています。
例えば、農薬を大量に散布した畑の野菜を自分が口にしたいと思うのか。虫やカビが寄り付かないような食品を子どもに食べさせられるのか。
こうした原点を見つめながら食品づくりをすることが、後世へと受け継ぐべきこと、日本の豊かな食文化を守ることだと思います。
安価な商品を作ることが企業努力だと称賛される風潮があります。
ただ、それは、もしかしたら単に安価な原材料を使っているだけかもしれません。
正しい評価を下すことが大切であり、これは日本全体が抱える大きな問題です。
「食べ物ぐらいまあいいか」と考える向きもありますが、食を蔑ろにした影響は間違いなくどこかで噴出してくるはずです。
守るべきものはきちんと守っていかないといけないのです。
本来、食べ物は腐るのが当たり前です。ところが今、世の中では腐ることなくいつまでも食べられる商品こそが「安心・安全」であるという話をよく耳にします。
しかし、腐らないようにするために、いろいろな物を添加したり河口したりした商品が本当に安全なのでしょうか。
私たちは「食べ物は腐る」という当たり前のことを大前提にした上で、原材料や製法にこだわった商品をお客様にお届けしたいと考えています。
実直であり続けた父の想いを継承し、こだわりのモノづくりを考える
犬塚元裕
私たちが会長である父・敦典から受け継いでいきたいものはたくさんあります。取引先様からも「あなたの親父さんはどれだけ真面目なんだ」と言われることが多くありました。
経営者の道を自ら歩み始めて思うのは、両親の存在の大きさです。いつかは越えるべき時が訪れるかもしれませんが、いまだに超えられると実感できた瞬間は一度もありません。
私たちは、その想いを大切に継承していかなければならないと痛感します。
息子たちから見ても、その生き様は誇りが持てる。そんな父が大切に貫いてきたのが、「自分たちの子どもに食べさせられるものを」という信念です。
私たちは大切な味を守り続け、それを多くの人に伝えていきたい。また、私たちは取引先様や一般のお客様を「家族」だと考えています。家族を騙すことは絶対にしない。
商品がたくさん売れる、株価が上がることだけが「よい会社」の定義ではないはずです。利益ではなく「信頼」や「ありがとう」をたくさん積み上げていく会社でありたいと思います。
今や「安心・安全」「厳選食材」という言葉は、どの食品メーカーでも常套句となっています。ただ、その言葉が持つ意味はそれぞれ違っています。
本当の意味での「安心・安全」「厳選食材」とは何なのか。私たちはそこを常に見つめ続け、こだわりの商品づくりを実践し続けていきます。